ざ・３Ｍセミナー 「薄くてスゴイ、その名はフィルム！」 #3mjp

2014年9月24日（水）、スリーエムジャパン株式会社本社にて開催された標題のセミナーへ参加してみました。

一口に「フィルム」と言っても様々なメーカーから色々な製品がありますね。それらの中にはコンシューマー製品とは異なる半工業製品、つまり最終製品の中に部材として組み込まれる製品もあったりする訳で。スリーエムジャパン（３Ｍ）株式会社はそんなフィルム製品も幅広く扱っている会社です。

→スリーエムジャパン株式会社

■　３Ｍについて

まず最初に３Ｍと言う会社の概要がブログ「みたいもん」のいしたにまさき氏から説明されました。３Ｍと言えば "Minnesota Mining Manufacturing"の頭文字から来ている事は周知の事柄ですが、

その歴史を超簡単にまとめると

• 1921年　耐水性サンドペーパーを商品化 
• 1925年　自動車用マスキングテープを商品化 
• 1980年　かの有名なポスト・イットノート 
• 1960年　住友スリーエムとして日本法人設立 
• 2014年9月1日　3M全額出資のスリーエムジャパン(株)へ

と、言うｊ事でこの秋、社名が変わったばかりなのだそうですよ。

そして、なんでブロガーのいしたに氏が３Ｍ社の紹介を？との疑問については、

こんな感じで氏と３Ｍ社は色々とご縁がある様で。なるほど、守備範囲が広いですね！

その後、今回のテーマ

「薄くてスゴイ、その名はフィルム！」

に話は移り、ここからはスリーエムジャパン(株)の足木春菜氏が同社のフィルム事業について様々なデモを交えながらお話しをいただきました。

1. スコッチ（TM) ＠！テープ

スコッチの有名な半透明テープ「メンディングテープ」のフィルム部にプリントを施したポップなテープ、それが＠！テープ（あっとてーぷ）です。

文房具売り場には本来のマスキング用途ではなく、もっぱら装飾用に供されるカラフルなマスキングテープが多く存在しますが、＠！テープはその様なテープにも似たカラフルなデザインが施されたフィルム状テープなのです。

同社のメンディングテープと同じアセテートで出来ていますので、ペンや鉛筆などで書き込む事が可能です。

36mmを自宅のテーブルに貼ってみました	PILOTのFRIXIONでも書けましたよ

子どもの持ち物に手書きの名前シールとして貼ってみるなど良さそうですね。

因みにFRIXIONは手でこすったら割と簡単に消えてしまうので実用的ではありませんでした。

2. ３Ｍ（ＴＭ）ペトリフィルム（ＴＭ）培地

次のフィルムは＠！テープと異なり一般コンシューマー向けではありません。

 

「培地」とは微生物や生体組織の培養に必要な栄養素を供給する環境のことで、多くの場合寒天やゼラチンが使われます。一般的にはプラスチック製シャーレに寒天の培地を敷き培養実験を行いますが、生成した微生物のコロニーは汚れと判別し難い場合も多く、使用後の後処理も面倒なモノでした。私も学生時代に生物学の実習で培養実験を実際に行った事があるので、これはよく判ります。

ペトリフィルムは微生物検査の為の専用フィルムで、フィルム上に滅菌処理済みの均一な培地がコーティングしてあり、発生したコロニーは赤く色が付くので判別しやすいのが特長です。またプラ製シャーレと比べて省スペースで廃棄量も少ない、と事後の処理も良い事ずくめなんですね。

この製品はアンデルセングループ、マルハニチロホールディングス、ニチレイなど食品会社の検査部門で衛生管理用品として使われているそうですよ。

しかもこの製品、実は発売から30年が経つロングセラー！
あぁ、このフィルムが学生時代に使えたら生物の実習も早く終えられたのに！と今更ながら思わずにはいられませんでした。

3. ３Ｍ（ＴＭ）輝度上昇フィルム

紹介されるフィルムも次第にマニアックなモノになってきました。

今度は液晶パネルの構成部品として使われる「輝度上昇フィルム」です。

まず、市販のタブレットのカットモデルで実物を見せていただきました。

このフィルムは液晶ディスプレイのバックライトの中に使われ、光源からの光を効率的に集める事によって液晶を明るく見せるためのフィルムで2種類あります。

1. 光を集めて明るくするフィルム
   Ｂｒｉｇｈｔｎｅｓｓ　Ｅｎｈａｎｃｅｍｅｎｔ　Ｆｉｌｍ（ＢＥＦ） 
2. 光りを再利用して明るくするフィルム
   Ｄｕａｌ　Ｂｒｉｇｈｔｎｅｓｓ　Ｅｎｈａｎｃｅｍｅｎｔ　Ｆｉｌｍ（ＤＢＥＦ）

これらは、それぞれ、この様な仕組みで使われます。

論より証拠、このフィルムをシャーカステンの上に置いてみました。

フィルムを置いた場所が白く見えていると言う事は、すなわち下側からの光がこのフィルム状で集められ、より明るくなっていると言う事なんですね。フィルムを通った方が明るくなる、その原理は判っていても、なんとも不思議なフィルムでした。

因みに有機ELは自ら様々な色に発光するのでこのフィルムは使えないそうですよ。

4. ３Ｍ（ＴＭ）ダイノック（ＴＭ）フィルム

そして4番目に登場したフィルム、それがダイノックフィルムです。

元々は1960年代に自動車の木目調装飾フィルムとして開発された物で、その後様々な分野の外装・装飾フィルムとして発展してきました。

最近では東京ミッドタウン、虎ノ門ヒルズと言った大型商業ビルの内装や東京スカイツリー、或いは新幹線の内装などにも使用されました。因みに虎ノ門ヒルズの内装にはこのダイノックフィルムが実に5万7千m（幅；1220mm）も使われたそうですよ！

このフィルムの特徴は「簡単・綺麗に貼れる」こと。

ワークショップ形式で実際にサンプルシートで貼ってみました。まずは目の前の机の上に貼ってみました。

気泡が入らず綺麗に貼れる秘密はこれです！

この写真で判るでしょうか？

シートの裏面には小さなエンボス加工が施してあります。貼り付け面に気泡が入ってしまっても、ヘラで押し出せばこの凸凹の間を空気がキレイに抜けていき、最終的にピタッと綺麗に貼れると言う訳なんですね。

続いて、ソリッドな物から木目調、大理石調、金属箔調、などなど様々なデザイン・テクスチャーのフィルムを使って・・・

実際に建築物の壁に貼ってみる、と言う事なんですが、

本物の壁は無理なので段ボールハウス（子ども向け？）に貼りました。まぁ、少しばかり職人さんの気分を味わってみましょうって趣向ですね。でも、これがホントに綺麗に貼れちゃうんですよ！位置を合わせる事だけに集中して気泡のことは考えなくて良いのですから、これはラクチンですね。

こんなに簡単かつ綺麗に貼れるものなら我が家の内装をリフォームする際にもダイノックフィルムを使ってみたいところですが、残念ながらこれ、結構高価な物だそうで、一般住宅で使おうとするとかなり不経済なんだそうです。残念！

■ 感想

今回ご紹介いただいたフィルムはいずれもユニークな特徴を持つものばかりで、その形態は最終製品であったり構成部材であったり、はたまた検査器具であったりと、３Ｍ社が持つ技術力の高さを実感する事ができました。

またこの様なデモやワークショップによって楽しみながら学べる体験型セミナーはよくある工場見学とは異なり、製品の本質がストレートに伝わってくるので良いですね。足木氏の製品毎に変化する劇場型？プレゼンは構成がよく練られていて小学生でも十分理解できるであろう内容でした。
（夏休み期間中にこの内容で親子セミナー、等はいかがでしょうか？）

11月19日　11月25日(火)には異なるテーマでセミナーが開催されるそうで、また是非参加したいと思います。

■ 関連サイト

スリーエムジャパン株式会社

スコッチ（TM)＠！テープ

３Ｍ（ＴＭ）ペトリフィルム（ＴＭ）培地

３Ｍ（ＴＭ）輝度上昇フィルム

３Ｍ（ＴＭ）ダイノック（ＴＭ）フィルム